宮本 百合子

通り雨

私の部屋の前にかなり質の好い紅葉が一本ある。

気がつかないで居て今日見るとめっきり色附いて、品の好い褪紅色になって槇の隣りにとびぬけた美くしさで輝いて居る。

今畳屋が入って居るので家中、何となし新らしい畳特有の香りで一杯になって居る。

今日は子供部屋の畳を取りかえると云って中庭中に、台を持ち出してひどい風に吹かれながら縫いなおしの表をさして居た。

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