宮本 百合子

二月七日

彼女は耳元で激しく泣き立てる小さい妹の声で夢も見ない様な深い眠りから、丁度玉葱の皮を剥く様に、一皮ずつ同じ厚さで目覚まされて行きました。

習慣的に夜着から手を出して赤い掛布団の上をホトホトと叩きつけてやりながらも、ぬくもい気持で持ち上げた頭をフラフラと夢心地で揺り未だ寝て居たい気持と、皆困って居るのだからもう起きてやりましょうと思う心とが罪のない争闘を起し始めたのを感じて居ました。

自分が寝せつけられて居る様な音調で彼女は子守唄を唄いました。

お家の可愛いお宝ちゃん

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