海野 十三
俘囚
「ねエ、すこし外へ出てみない!」
「うん。――」
あたしたちは、すこし飲みすぎたようだ。ステップが踉々と崩れて、ちっとも鮮かに極らない。松永の肩に首を載せている――というよりも、彼の逞しい頸に両手を廻して、シッカリ抱きついているのだった。火のように熱い自分の息が、彼の真赤な耳朶にぶつかっては、逆にあたしの頬を叩く。
ヒヤリとした空気が、襟首のあたりに触れた。気がついてみると、もう屋上に出ていた。あたりは真暗。――唯、足の下がキラキラ光っている。水が打ってあるらしい。
海野 十三
「ねエ、すこし外へ出てみない!」
「うん。――」
あたしたちは、すこし飲みすぎたようだ。ステップが踉々と崩れて、ちっとも鮮かに極らない。松永の肩に首を載せている――というよりも、彼の逞しい頸に両手を廻して、シッカリ抱きついているのだった。火のように熱い自分の息が、彼の真赤な耳朶にぶつかっては、逆にあたしの頬を叩く。
ヒヤリとした空気が、襟首のあたりに触れた。気がついてみると、もう屋上に出ていた。あたりは真暗。――唯、足の下がキラキラ光っている。水が打ってあるらしい。