夢野 久作
いなか、の、じけん
大きな手がかり
村長さんの処の米倉から、白米を四俵盗んで行ったものがある。
あくる朝早く駐在の巡査さんが来て調べたら、俵を積んで行ったらしい車の輪のあとが、雨あがりの土にハッキリついていた。そのあとをつけて行くと、町へ出る途中の、とある村外れの一軒屋の軒下に、その米俵を積んだ車が置いてあって、その横の縁台の上に、頬冠りをした男が大の字になって、グウグウとイビキをかいていた。引っ捕えてみるとそれは、その界隈で持てあまし者の博奕打ちであった。
博奕打ちは盗んだ米を町へ売りに行く途中、久し振りに身体を使ってクタビレたので、チョットのつもりで休んだのが、思わず寝過ごしたのであった。